Adobe Creative Cloudの個人向けプランが、2025年8月1日以降の契約更新から新しい料金体系に切り替わることが発表されました。(※グループ版もプランと価格の改定がありますが、この記事では個人向けプランについてお伝えします)
従来の「コンプリートプラン」は名称が「Creative Cloud Pro」に変更になります。生成AI機能が強化されますが、年間契約、月々払いで1,300円の値上げとなります。しかも、何もしなければ自動的にProプランへ移行=値上げされる仕組みになっているのが注意点です。
また、今回の改定では、機能を絞った「Creative Cloud Standard」という新プランも登場し、こちらは1,300円の値下げ(年間契約、月々払い)となります。(学生・教職員版には Standard はありません)
生成AI(Adobe Firefly)の使用頻度や、必要なアプリ数によってProを選ぶべきか、Standardに切り替えるべきか判断が分かれます。
この記事では、今回の価格改定のポイントやプラン比較、既存ユーザーが取るべきアクションについて、わかりやすく解説します。
なにが変わる?プラン変更・価格改定の概要
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適用開始日:2025年8月1日以降の契約更新分から
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対象:コンプリートプラン契約者
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変更内容:
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「コンプリートプラン」が「Creative Cloud Pro」に名称変更
- 「Creative Cloud Pro」は生成AI機能が大幅に強化
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「Creative Cloud Pro」は月額 1,300円の値上げ(年間契約、月々払い)
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新たに「Creative Cloud Standard」プランが登場(機能制限あり・割安)
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価格とプラン内容を比較!
個人向け価格
Creative Cloud Standard (旧プランとの差額) |
Creative Cloud Pro (旧プランとの差額) |
旧コンプリートプラン | |
---|---|---|---|
年間契約、月々払い | 6,480 円/月 (-1,300 円/月) |
9,080 円/月 (+1,300 円/月) |
7,780 円/月 |
月々プラン | 10,280 円/月 (-2,100 円/月) |
14,480 円/月 (+2,100 円/月) |
12,380 円/月 |
年間プラン(一括払い) | 72,336 円/年 (-14,544 円/年) |
102,960 円/年 (+16,080 円/年) |
86,880 円/年 |
※価格は税込
- Pro は、標準の生成機能の無制限アクセスや、動画・音声生成などのプレミアム生成機能、アドビ以外の生成 AI モデルを選択可能
- (ついに年10万超えか〜〜〜 😯 )
- Standard は標準の生成機能が25クレジット/月に制限、プレミアム生成機能等は非対応
- 旧プラン利用者は、自動的にProへ移行(Standardにしたい場合は自分で切り替える必要あり)
学生・教職員向け価格
Creative Cloud Pro (旧プランとの差額) |
旧コンプリートプラン | ||
---|---|---|---|
初年度導入価格 | 年間契約、月々払い | 3,280 円/月 (+1,100 円/月) |
2,180 円/月 |
年間プラン(一括払い) | 39,362 円/年 (+13,200 円/年) |
26,162 円/年 | |
更新価格 | 年間契約、月々払い | 4,180 円/月 (+570 円/月) |
3,610 円/月 |
年間プラン(一括払い) | 50,160 円/年 (+6,838 円/年) |
43,322 円/年 |
※価格は税込
- Standardプランはありません
- 機能は、個人向けのCreative Cloud Proと同等
- 購入には教育機関の所属証明が必要
プラン内容
Creative Cloud Standard |
Creative Cloud Pro |
|
---|---|---|
デスクトップクリエイティブアプリ | ◯ | ◯ |
モバイルおよび web クリエイティブアプリ | △ | ◯ |
標準の生成機能 | 25 クレジット/月 | 無制限のアクセス |
プレミアム生成機能 | × | ◯ |
Firefly ボード(beta) | ◯ | ◯ |
アドビ以外の生成 AI モデルを使用する選択肢 | × | ◯ |
クラウドストレージ | 100 GB | 100 GB + 増量オプション |
Standardは、モバイルおよび web クリエイティブアプリと生成AI関連、クラウドストレージの増量オプションに制限あり。
「Creative Cloud Pro」の新しい機能
- Photoshop の生成塗りつぶしを含む標準画像およびベクター生成機能への無制限のアクセス。
- Adobe Firefly の 画像から動画生成、動画を翻訳、音声を翻訳、および Premiere Pro の生成延長を含む、ビデオとオーディオ用のプレミアム生成機能用の追加の生成クレジット。
- Adobe Firefly の新しいコンセプト作成およびムードボード作成ツールである Firefly ボード(beta)で複数のボードを作成可能。
- OpenAI GPT 画像生成、Google Imagen と Veo、Flux など、アドビ以外の生成 AI モデルを Adobe Firefly で直接使用する選択肢
どちらを選ぶ?Pro or Standard
Proが向いている人
- Photoshop の生成塗りつぶしなど標準の生成機能をよく使う
- Firefly や Premiere Pro のプレミアム生成機能を使いたい
- iPad版 Illustrator や web版 Photoshop など、モバイル/Webアプリをよく使う
Standardが向いている人
- PhotoshopやIllustratorなど、基本的なデスクトップアプリのみ使っている
- 標準の生成機能のみ使う、25クレジット/月で十分
- 月額費用を抑えたい
既存ユーザーが今すぐやるべきこと
契約更新日を確認する(2025年8月以降の更新日)
Adobeアカウントページ の「プランを管理」から確認できます。
Proで継続するか、Standardへ切り替えるか決める
Standard に切り替えたい場合は、更新日前にプラン変更手続きが必要です。プラン変更はAdobe アカウントでいつでも切り替えることができます。(※学生教職員版は Standard がないのでプラン変更はできません)
更新日までは、旧コンプリートプランの料金のまま Proの機能が使用できます。この期間に、Proで継続するか、Standard へ切り替えるか決めるのがよさそうです。
➡ 引き換え済みの場合
そのまま更新日まで有効で、Creative Cloud Pro の機能が利用できます。
➡ 購入済みでまだ引き換えていない場合
将来いつでもアクティブなアカウントに適用でき、Creative Cloud Pro の機能が利用できます。
➡ Standard に切り替えたい場合
現契約の有効期間終了後に Adobeサイトまたは電話・チャット経由で購入できます。(Standard は、販売店やオンライン販売パートナーでの販売はありません)
通知メール(30日前)を見逃さない!
Adobe 公式でサブスク契約をしている場合は、プランの更新日の30日前に、Creative Cloud プランの価格改定を通知するメールが届きます。
引き換えコードを購入した場合などはメールが届かない可能性があるので、Adobeアカウントで更新日を確認しておきましょう。
更新日までに Standard に切り替えない場合は、自動で Proに更新されます。心配な場合は自動更新をオフにするなどを検討してもいいかもしれません。
まとめ:Creative Cloud、どう選ぶ?わたしなりの考えとおすすめ対策
自動値上げに注意!今のうちにプランを見直そう
今回の価格改定は、「生成AIをどこまで使いたいか」で判断が分かれる分岐点です。
なにもしなければ自動でPro(=値上げ)に移行する仕組みなので、契約更新前に内容を確認しておくのがおすすめです。
まずは、自分の制作スタイルにAIがどれくらい関わっているかを振り返ってみてください。
「AIほとんど使ってない」ならStandardでも充分かもしれませんし、「頻繁に使う」ならProを継続したほうが快適に使えるでしょう。
無駄なコストを避けながら、必要な機能はしっかり押さえる──そのバランスが大切ですね。
社会人でも使える?通信講座に付属の学生・教職員版
実は、社会人でも「学生・教職員個人版(Pro同等)」を利用できる方法があります。
そのひとつが、Adobe Creative Cloud 付きの通信講座を申し込む方法です。
これは、Adobe Creative Cloud の年間ライセンスが講座とセットになっていて、Proと同じ機能が使える上に、通信講座でアプリの操作が学べる一石二鳥のお得さが特徴です。
ただし注意点として、通信講座の受講料が含まれるため、Adobe公式の学生向け価格よりは高くなります。それでも、「スキルを学び直しつつ、ライセンスも確保したい」社会人にとっては、実用的な選択肢になると思います。
➡ 詳しくはこちらの記事で紹介しています。
AI機能の制限、正直ちょっとしんどいかも…?
「アプリ数を絞った安価なプランがあればいいのに」と感じていた方にとって、Standard の登場は歓迎すべき動きと言えるでしょう。
価格重視で、必要最低限の機能だけ使えれば十分というニーズには合ったプランです。
ただ、標準の生成AI機能までここまで制限されるとは、少し意外でした。
数年前であれば、「AIは使わないからStandardで充分」と割り切って選ぶ方も多かったかもしれません。
けれど最近は、ちょっとした画像補正やデザイン素材の生成など、日常的な作業にもAI機能が自然と入り込んでおり、使えないと“地味に不便”と感じる場面も増えつつあるように思います。
プレミアム生成機能がPro限定なのは理解できますが、標準の生成機能が月25クレジットというのは、やや物足りなさを感じるかもしれません。
もう少し多く使えるようであれば、Standardでも安心して選びやすくなったのではないでしょうか。
とはいえ、こうした設計を見ると、アドビが生成AIを主軸に据えているのは間違いなさそうです。自分にとって必要な機能はどれなのか、じっくり見極めて選びたいですね。